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Posted by 抹茶 on  | 

旅人の探し物

 昔々――物語の語り口は大体が〝昔々"。
 今から語る物語もそう。

 昔々、一人の旅人が旅をしていた。

 長い間ずっと一人で旅をしていたので、旅人にも何故自分が旅をしていたのか、分からない。
 それでも旅人は旅を続けていた。

〝何か"を探して。

 ある日、一人の娘が旅人に声をかけた。

「こんにちは、旅人さん。あなたはどこへ行くの?」

 その問いかけ自体、ごく普通の何の変哲もないもの。
 だけど旅人にとっては、ずいぶん久しぶりに聞く人の声。
 たどたどしく口を開いては、閉じてを繰り返し、

「きらきら、探す、旅してる」

 きらきら。そう旅人が捜し求めていたのはきらきら。
 だけどどんなきらきらか分からない。
 分からないから、それを答える術はなく。
 でも生れ落ちた瞬間から、ずっと求め続けているもの。

「きらきら?」
 
 娘は首をかしげ、にっこりと笑顔を浮かべて何やら差し出した。
 それはきらきらと輝くガラス玉。

「きらきらしてるの、これかしら」

 だけど旅人は首を振る。それではないと。
 娘は一瞬悩み、そして、

「それじゃあ、私も一緒に探してあげる!」

 そして旅人の旅仲間が増えた。
 二人はきらきらを探す旅にでた。

 一人じゃなくなった旅路は、旅人にとっては初めてで、常に明るい娘は話が絶えなかった。
 旅人は自然と笑顔が多くなっていった。

 次に二人が出会ったのは一人の大男。
 強面の顔はみんなから怖がられていたが、旅人と娘は怖がらなかった。

「俺のことを怖がらなかったやつ、お前たちが初めてだ。何を探しているのか聞いてもいいか?」

 大男の問いに旅人は、きらきらを探していると伝えた。
 大男は何やら納得した顔で、ポケットに手を突っ込んだ。

「それはお金のことか?」

 その手に握られていたのは輝くコイン。だが旅人は違う、と首を横に振る。
 大男は唸ると何やら考え、

「それじゃあ俺も手伝ってやるよ」

 こうして旅の仲間がもう一人。

 年も性別も生き方も違う、ばらばらだった三人が、同じ目的のために一緒に旅をする。
 ずっと一人だった旅人は毎日笑顔。楽しくて幸せだと笑う。すると娘も大男もつられて笑う。
 三人の旅は明るくて楽しいものだった。

 それから暫くして、三人は賢者が住むといわれている森へ辿り着いた。
 賢者ならば答えを知っているのではないか。
 そう考えた三人は賢者の元へ。

「ようこそ旅人たちよ。あなたたちが来るのを待っていた」

 出迎えてくれた賢者に、旅人は問う。
 すると賢者は空を指し、

「夜、空に浮かぶ星のことだろうか」

 三人が見上げると、そこには煌々と輝く星空。
 だが旅人は首を振る。それでもないと。
 すると賢者はにっこりと笑い、

「きらきらは、あなたのすぐ傍にあるよ。よく見てごらん」

 旅人は言われたとおりに傍を見た。
 そこには娘と大男のきょとんとした顔。

 だけど、そう。旅人の目には映った。

 きらきら、きらきら。

「きらきら、みつけた」

 旅人は二人の手を取って喜んだ。
 娘と大男はお互いに首をかしげながらも、旅人の手を握った。
 それを見ていた賢者が最後にこう言った。

「うん。私の目からみても、"きらきら"しているよ」

 こうして旅人は長い旅の末に、やっと探し物を見つけることが出来た。

 さて、旅人が見つけた"きらきら"が何だったか、きみたちには分かるかな?

 こうして今日も詩人は詩を紡ぐ。
 人の想いを伝えるために。

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